実績Performance

  • 株式会社 アプリズム

    実証テーマ

    Depthカメラを活用した介護支援システム「ミマモリズム」の実証

    実証フィールド

    株式会社ピースフリーケアグループ ピースフリー堺

    実証レポート

    危険につながる体勢を感知AIが見守り、介護をサポート。

     高齢者施設内における事故のおよそ6割が転倒によるもの。介護スタッフは昼夜を問わず居室への見回りが必要となり、深刻な人手不足のなか大きな負担を抱えている。団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題も間近に控え、問題は山積みだ。これらにAIの技術で課題解決をかかげるのが、2011年に創業した株式会社アプリズム。本業としていた業務系システム開発の領域から、本格的にAI領域に取り組み、アプリやソリューションを開発してきた。
     そのひとつ「ミマモリズム」は、Depthカメラ(深度カメラ)を用いて取得した画像情報をAIモデルに連携し、転倒など対応が必要と思われる行動を検知して介護士に通知する、シンプルな構成。「物理的にもコスト面でもスリム化し、導入のハードルを下げたものです。またDepthカメラは深度データで撮影対象を捉えるため、RGBカメラ(カラー画像)とは違いプライバシーに配慮できます」と上河綾佑輔さん。今回は住宅型有料老人ホームのピースフリー堺を実証事業の場とし、起き上がる際に転倒のリスクがある入居者に協力いただいた。まず入居者の部屋にDepthカメラを1台設置。クラウドサーバーを通じて、被介護者の状態表示や行動(転倒、離床)が2名の介護士のデバイスに通知される。どちらかがアラート通知メール内の「対応するボタン」を押すとアラートが解除され、ボタンを押していないもうひとりの介護士には対応不要の通知が飛ぶ。実証事業は2つのフェーズに分けて実施。
     まず第1フェーズ(9月29日˜10月8日)では、AIアルゴリズムの検知精度の確認。施設内で取得したデータを社内に持ち帰り解析すると、深度画像に含まれるノイズや、アルゴリズム自体の影響で床面の検出がうまくいかないなど課題を洗い出すことができた。こうした結果を受けて第2フェーズ(12月9日˜12月26日)では、改良を加えたアルゴリズムをもとに、現場にて実運用で利用できるか否かの検証を実施。
     結果「想定以上に課題が浮き彫りとなり、今後に生かせる良い経験を積むことができました。期間中、転倒インシデントは発生しませんでしたが、アラートを受けて補助に間に合うケースもあったため、精度が高くなれば実用性はあると思います」。また介護士からは使用感について「シンプルで良い」とされつつも、さらに高い検知精度が求められた。「今回の結果を踏まえ、引き続き介護施設と情報交換を重ねて実証実験をできればと思ってます。施設側からの反応から方向性は間違っていないという手応えもありますので、将来的な製品リリースに向けて、さらにブラッシュアップしていきたいです」

    株式会社アプリズム | 先端技術開発部 | 上河 綾佑輔 氏

  • 株式会社 FMCC

    実証テーマ

    スマホのカメラで自律神経機能を評価できるアプリ「ヒロミル」の客観的な評価方法の確立

    実証フィールド

    太陽パーツ株式会社

    実証レポート

    自律神経の“見える化”で、より正確なストレスチェックを。

     近年、私たちを取り巻く社会情勢や労働環境は急激な変化をみせている。それによって、強い不安やストレスを感じる人も年々増加傾向にある。対策として2015年に労働安全衛生法が改正され、従業員50名以上の事業所ではストレスチェック検査の実施が義務化した。だがこれは自記式で、客観的な評価方法が求められていた。そこに新たな指標を打ち立てたのが、疲労科学、自律神経機能評価の第一人者である倉恒弘彦さんだ。
    厚生労働省や文部科学省の研究班で疲労を客観的に評価することを目的に、自律神経機能評価、睡眠覚醒リズム解析などの研究をおこなってきた倉恒さん。そこで得た知見を特許化するために疲労科学研究所を、さらに取得した特許や知見・技術で社会に貢献するべく2008年に株式会社FMCCを設立した。「自律神経機能と健康との関係を調べたところ、自律神経系の活動は心身の疲れ、睡眠障害、メンタルヘルス障害などに陥ると低下することがわかってきました」。そこで客観的な疲労ストレスの評価法である自律神経検査としてセンサーを使い、自律神経評価の見える化を進め、2020年にいつでも、どこでも、簡単に測定できるアプリ「ヒロミル」をリリース。
     これはスマートフォンのカメラ機能を使って脈拍の間隔をとらえ、その「ゆらぎ」から自律神経機能を評価する技術で、自律神経と疲労の実態が一目瞭然。今回はアプリにおける疲労・メンタルヘルスの客観的評価法を実証するためのトライアルとなる。実証の場を提供したのは、機械部品や住宅設備機器・医療機器などの機構部品を扱う太陽パーツ株式会社。健康経営を実践する同社から101名が参加した。問診と、始業時、昼休憩の前、終業時と毎日3回のヒロミルによる計測がおこなわれた。
     「12月5日˜19日の10日間で、参加者がほぼ脱落することなく実証を終え、エビデンスと呼べるレベルのデータが取れました」と倉恒さんは振り返る。「周波数分析による自律神経活動指標とローレンツプロット法から得られる自律神経活動指標との間に、強い相関が確認でき、アプリの信頼性が高まった。これが今回いちばんの収穫です」。また計測開始数秒間は脈波のピークをうまく検出できなかったが、改善策が明らかになり、自律神経解析を開始するタイミング条件を明確にできた。自律神経の“見える化”を実現した「ヒロミル」は、ストレスのない労働環境で健康経営をめざす企業にとってますます欠かせないものになっていくはずだ。

    FMCCではともに実証をおこなう企業を募集中。自律神経の見える化という技術はさまざまなシーンで応用可能で、実証を重ねれば重ねるほど、その可能性は広がるだろう。

    【写真手前】 株式会社 FMCC | 代表取締役 | 倉恒 弘彦 氏

  • Senxeed Robotics 株式会社

    実証テーマ

    AIコミュニケーションロボットと人(販売スタッフ等)が共存する空間におけるロボットの効率化検証

    実証フィールド

    堺伝匠館

    実証レポート

    訪れたくなる地域を目指して「観光×スポーツ」でインバウンド促進

     人々の生活を支援するためのサービスロボットは現在、世界中で急速に普及している。新型コロナウイルスの流行による非接触サービスのニーズから、その需要は増え続けるいっぽうだ。そんな人とロボットが共生する社会の創造をめざすのが、Senxeed Robotics株式会社。国内だけでなくASEAN全域でのサービスロボットのローカライズや分野別アプリケーション開発などトータルで提供している。今回の実証実験は全世界で導入されている、AIコミュニケーションロボット「Cruzr」を使用。堺の伝統産業を一堂に集めた施設「堺伝匠館 SAKAI DENSHOKAN」を舞台に2022年10月19日˜2023年1月26日と2ヶ月近く実施された。
     「Cruzr」の仕事はまず、刃物売り場を5つのスポットに分けて説明しながらツアーする堺伝匠館刃物ガイドツアー。「研ぎ場の前では実際に研いでいる映像を流し、移動中にクイズをするなど子どもも楽しめる内容にしました」と語る田口大悟さん。対してエリック・シュヴァリエさんも「職人の仕事を映像で楽しんでいて、また来たいという空気になっていた」と同感する。さらに館内で刃物を販売する事業所をロボットの中にリスト化し、開催イベントの紹介もした。人気だったのはダンス。「Cruzr」がリズミカルにダンスを踊る姿はとても愛らしい。「当館は外国人客も多い。彼らは日本=ロボットの国のイメージがあるので、実際にそこにいたら大喜びですよ」(エリックさん)。その点に関しては課題を感じたと田口さん。「今回は外国語対応が間に合わなかったのですが、複数言語の対応は必須だなと実感しました」
     終了後、ログを解析して出た「会話回数:559回」とい数字に驚いたという。ほかの実証事業より段違いに多い。今後は設置場所や客層にあわせて内容も変えていけば面白いと考えている。「家族連れの場合、お父さんは私たちの説明を聞いて刃物を吟味し、子どもはロボットと遊んで過ごすこともあり、1組あたりの滞在時間も増えました。まだ完全には接客をまかせられないけど、ロボットとは良いパートナーになれそうです」(エリックさん)。「堺伝匠館の方たちが、前向きに協力してくれたおかげで、とてもいいコンテンツができあがりました」と田口さん。刃物事業所の紹介やビデオの作成など、ほかの観光地施設でも活用できそうなソリューションも生まれた。今後は全国の伝統産業品売り場や観光地案内スポットを、ロボットを使って盛り上げていきたいと考えている。

    堺伝匠館にて 【左写真・右側】 Senxeed Robotics株式会社 | 営業・マーケティング | 田口 大悟 氏 と
    ​【左写真・左側】 公益財団法人 堺市産業振興センター|海外需要開拓コーディネーター | エリック・シュヴァリエ(Eric Chevallier) 氏

  • 株式会社 Velodash Japan

    実証テーマ

    サイクリングアプリ「Velodash」を活用した地域の魅力発信とデータ分析

    実証フィールド

    堺市内を実証フィールドとして利用

    実証レポート

    訪れたくなる地域を目指して「観光×スポーツ」でインバウンド促進

     新型コロナウイルスの流行が観光業界に与えた打撃は非常に大きく、未だに以前の状態には戻っていない。今求められているのは観光の新しい切り口とともに、サステイナビリティに配慮したサービスだ。
     Velodash Japanの関口大樹さんは、人口減少や少子高齢化が進むなか、国内の各地域を持続可能なカタチで維持、発展させていくために地域外からの外需を取りこむ必要性を考えていた。関口さんは大学院留学から台湾に在住。個人で日本向けインバウンドの事業をしていた経験を買われて、日本の訪日インバウンドITスタートアップに入り台湾事業を展開。そこで出会った台湾発のサイクリングアプリ「Velodash」に可能性を見出す。このアプリは走行距離の記録やルート案内にとどまらず、仲間とイベントに参加したり、位置情報の把握、チャット、コース作成などコミュニケーションを生む機能を搭載する。「日本では観光においてスポーツはまだ未開発のジャンル」と帰国後、国内展開に着手する。
     以前から「自転車の街」として堺市には着目し、観光地としての潜在能力も実感していたという。「堺市のサイクルシティ推進部の方とも話をし、何かやりたいと考えていて。以前から何度も現地に足を運んでました」。そこで見えてきた堺市の課題として、ヨコの移動手段の弱さと、宿泊や長期滞在の少なさをあげた。今回のイベントではアプリを活用し、ヨコの移動や観光周遊を促進した。また1月30日˜2月12日の開催に先駆け、発表されたプロモーション動画も、従来と違った角度で堺の魅力を伝える。名所旧跡の紹介ではなく、公園やカフェ、灯台や美しい街並みをサイクリングで周遊する映像は新しい堺の姿を照らしだす。「堺のイメージが変わった」という声も多く、参加者47名のうち半数以上が堺市外在住だった。その中には日本在住の外国人もおり、地域の魅力を敏感に感じ、地場産品の買い物も積極的に楽しむ姿が見られた。「彼らは訪日インバウンド観光客のテストケースともいえるので、今回のイベントを通じて堺の魅力が海外に広まる可能性を感じました」

     参加者から集めたデータを分析すると、面白い結果が出た。「チャット機能を使用して、私も知らない地域の魅力を発信している方もいて。これは今後に活かせる気がします」。イベントを振り返ると準備期間が短く、タイミングよくPRを打てなかったという反省もある。同時にまだまだアプリの精度を上げる必要性も感じた。今後はイベントの協力施設を増やし、実施期間も長期化をめざす。さらに地域の商品を海外に販売する越境EC事業も手がけたいとも。「そして2025年大阪万博で、公式アプリや事業者となることが目標です」と語った。

    株式会社Velodash Japan | 代表取締役CEO | 関口 大樹 氏

  • 株式会社 泉州村上技術士事務所

    ビジネスアイデアの概要

    自社で開発した無線圧力センサーによるIoTプラント監視システムを使い、設備点検の人員をIoTデ バイスで代替し、生産性の向上を図る。

    実証概要

    IoTプラント監視システムのサービス化のためのフィールドテストによる通信安定性と寿命の検証、課題の 抽出をする。

    実証フィールド

    堺・泉北ベイエリア新産業創生協議会(堺・泉北臨海コンビナート内の石油・化学系企業等で構成) の協力の元、三井化学株式会社 大阪工場にて実施した。

    実証結果

    本実証を通して、通信安定性は目標値を超える結果を出すことができた。
    データの受信成功率は99.7%(1333回成功/1337回中)、デバイスへのメッセージ送信成功率は 100%(10回成功/10回中)となった。
    またユーザーからは、取り付け・運用に手間がかからないという好評価を受けた。
    今後、実証実験のコメントを基にシステムの利便性を高め、化学、エネルギー産業等のプラント事業者に 向けてビジネスを展開していく。

    (代表取締役 村上 和之氏)
  • 株式会社 ロボリューション

    ビジネスアイデアの概要

    横方向への移動ソリューション活用により、省人化等を図る。また、展示会場での案内サービスを連携させ、高齢の方・足の不自由な方にも快適な鑑賞ができるシステムを構築する。

    実証概要

    自動追従モビリティを活用した展示物案内システムの有効性を検証する

    実証フィールド

    堺市博物館

    実証結果

    2021年12月に博物館で実施した展示物鑑賞体験を通して、モビリティロボットの新しいサービスの可能性を確認した。モビリティ利用者や案内を担当した学芸員からの意見も伺うことができ、今後のサービス化への一助となった。

    (代表取締役 小西 康晴氏)
  • 株式会社 フツパー

    ビジネスアイデアの概要

    工作機械に振動センサを設置し、振動データをAIに学習させることで、故障の予兆を検出し、異常が起こる前にアラート等を出すシステムを構築し、工場の生産性向上を図る。

    実証概要

    工作機器取付用の振動センサを使用し、職人のスキルを可視化することで異常検知ソリューションを作る。

    実証フィールド

    株式会社浪速工作所(堺市のプラスチック金型メーカー。金型の設計・製作、製造機器等の生産)

    実証結果

    振動センサからデータを取得し、振動データを現場で表示するというシステム及びハードウェアを開発し、現場において稼働済。感覚値と合うデータが取れていることが確認され、可視化という部分の目標は達成した。今後サービス化に向けた機能面追加等を検討する。

    (代表取締役 兼 CEO大西 洋氏)
  • 株式会社 テクリコ

    ビジネスアイデアの概要

    MR技術を用いた認知機能リハビリシステム「リハまる」を活用し、認知症の前段階のMCI(軽度認知障害)の早期発見を目指し、注意喚起や予防の取り組みに繋げる。

    実証概要

    「リハまる」でどのようなコンテンツを実施すれば、MCIの早期発見・予防の取り組みに繋がるかを検証する。

    実証フィールド

    堺市老人クラブ連合会に依頼。自治会館での実施と参加者への働きかけにご協力頂く。

    実証結果

    本実証を通して、「リハまる」のシステム運用を確認した。参加した高齢者の方からアンケートもいただき、「リハまる」を体験して楽しかったといった前向きな意見が大半であった。

    (代表取締役 杉山 崇氏)
  • Rehabilitation3.0 株式会社

    ビジネスアイデアの概要

    複数のセンサーデバイスを使用し、身に着ける、布団の下に設置するといった方法で睡眠時に自動で睡眠状態をセンシングする。そのデータを開発したシステムでAI分析し、運動やストレッチなどのフレイル予防等に向けた改善策を提案する。

    実証概要

    上記内容に係る取り組みが滞りなく、ICT化されるか検証。ニーズ・効果等を検証し、事業スキームを構築する。

    実証フィールド

    市内高齢者宅

    実証結果

    シニアの健康状態をデジタル情報として把握し、遠隔地から健康アドバイスを行うために最適な睡眠計を検討し、比較し、最適なデバイスを検証した。今後はAI連動の可能性を含めてアプリ開発に繋げる。
    測定項目:体動、心拍数、呼吸数、その他いびきなど
    評価項目:睡眠の深さ、その他ストレスなど
    操作性:初期設定のしやすさ、電源維持、測定開始の操作必要性、測定終了時の操作必要性、健康アドバイス者が遠隔地で測定結果を把握することができるか、消費者としての満足度など

    (代表取締役増田 浩和氏)